技術 | FBC絶縁加工

FBC絶縁加工 (粉体塗装 流動浸漬法)

FBC(Fluidized-Bed-Coating)は粉体塗装法の1種で1957年ドイツのグリースハイム社で発明された手法です。

多孔で上下に仕切られた槽の上に粉体を入れ、下から加圧した空気を送り込んで粉体の流動層を形成させます。

この粉体の融点以上に被塗装物を加熱させ、流動層中に浸漬し、表面に粉体を溶解付着させて塗膜とする塗装法であり、「流動浸漬塗装法」と呼ばれています。

長所

  1. 複雑な形状の素材にも容易に塗装できる。
  2. 塗膜200μm以上でコントロールが容易。

短所

  1. タンクの大きさにより被塗物の大きさが制限される。
  2. 熱容量の小さな被塗物、熱容量の違う材料の組み合わせた被塗物では塗装が困難。
 

流動浸漬塗装用の粉体塗料、粉体塗料樹脂材料の特徴・用途

塗料 特徴 用途
ポリエチレン 流動浸漬塗装における樹脂材料の主流。
低密度ポリエチレンは、比較的安価であり、
溶融加工性に優れている。
変性ポリエチレンは、密着性、耐候性などに優れている。
発泡性ポリエチレンは、遮音性、防振性、断熱性などに
優れている。
屋内・屋外用
・低密度ポリエチレン:自転車カゴ、冷蔵庫棚などの雑貨
・変性ポリエチレン:パイプ、フェンスなど
・発泡性ポリエチレン:建築資材など
ポリアミド 市販されているものには、
ナイロン11、ナイロン12の2種類がある。
耐摩耗、耐油性、対衝撃性、耐熱性に優れている。
プライマーの使用により密着性塗膜が得られる。
薄膜仕上げのケースが多い。
屋内・屋外用
スプラインシャフト、ローラー、バルブ、パイプ、
食品機械、医療機器など
変性EVA 塗膜は、金属材料に対する密着性に優れている。
また溶融加工性に優れている。
屋外用
建築用構造物、フェンス、バルブ継手、給水用鋼管など
熱可塑性
ポリエステル
美粧性、耐候性に優れ、密着性を有している。
表面光沢があり、汚れにくいため
インテリア、エクステリア関係に期待されている。
屋内・屋外用
屋外部品、バルブ、フランジなど
再生PET 使用済みPETボトルから
再生したPET樹脂を原料とした流動浸漬塗装用粉体塗料で、
廃PETボトルのリサイクル促進が可能。
耐酸性、耐食性、耐絶縁性に優れている。
屋外用
土木建築資材、電気通信機器資材、道路資材など
フッ素樹脂 高度の耐熱性、耐候性、非粘着性、低摩擦性、
電気特性に優れている。
融点が高いため流動浸漬塗装用として使用されるのは、
PVdF、BTFE、FEPなどである。
屋外用
耐蝕ライニング、工業部品など
エポキシ樹脂 密着性、耐熱性、電気絶縁性に優れている。
熱硬化性樹脂粉末は、
静電粉体塗装用に多く使用されているが、
エポキシ樹脂は、流動浸漬塗装用として市販されている
唯一の粉末である。
屋内・屋外用
電気関係のハウジング、ブスバーなどの電気製品、
鋼管継手、鋳物などのコーティング